DDLとは

DDLは data-driven learning(データ駆動型学習)の略です。DDLでは,児童がたくさんの英文データに触れて,自分の力で言語のルールに気づき,英文法を学びます。DLLは,教師から教わるのではなく,児童が主体的,探求的に言語のルールを学ぶ帰納的な学習方法の1つです。

小学校英語とDDL

日本では一般的に,小学3年生から英語の授業が始まり,「聞く」「話す」活動を中心として,音声英語を土台にして英語を身につけます。例えば私の娘は,小学校で,耳から「アイハバぺッ」という英語表現を習い,犬を見てタイミング良く,上手な発音で「アイハバぺッ」言っていました。音声を土台にして英語を身につけている例です(自宅ではペットを飼っていなかったのですが…)。児童はDDLをとおして,この「アイハバペッ」が,実は I have a pet. であること,「わたしは〇〇を飼っています」と言う意味であること,「I + have + a +動物の名前」の形を使うこと,「動物の名前」を入れ替えれば「自分が飼っているペットを相手に伝えられること」に気づきます。その結果,文の構造を意識して「アイハバペッ」と言えるようになります。

DDLの役割

DDLはコミュニケーション活動と組み合わせて活用します。DDLを活用すると,音声をとおして身につけた英語から,英語のルールをあぶり出すことができます。下の図をご覧ください。豊かな英語のインプットを受けた児童は,英語のルールに関して自分なりの方法の仮説を立てて使っています。英語という風景がボンヤリと見えている状況です。DDLというメガネをかけると,英語ルールに気づき,それを意識して英語を使えるようになり,新しい英文も作れるようになります。

DDLを始めるタイミングは?

DDLを始めるタミングは,アルファベットを読んだり書いたりすることに慣れ,児童も指導者も中学校英語を意識し始める6年生の秋以降がよいと考えます。たっぷりと英語の音声に触れて,自分でも英語を言えるようになった児童が,DDLを通して英語を見つめなおすと,「英語の文にはルールがあること」,「ルールを知っていると新しい文を作り出せること」に気づき,意識するようになります。DDLによって英語が可視化されるのです。

プロジェクト代表 西垣知佳子(千葉大学教育学部教授)